蒼き湖の涙
〜最新話〜
蒼き湖の涙:事件18
コーヒーを片手にどら焼きを頬張りながら、早見が説明を始めた。「すずさん、モゴモゴ、あのですね……モゴモゴ、一ノ宮真紀の両親は……美味しい」「早見、とりあえず食べてからでいいぞ、何が言いたいのかわからん」そう言って、五十 […]
これまでの事件を追え!
蒼き湖の涙:事件18
コーヒーを片手にどら焼きを頬張りながら、早見が説明を始めた。「すずさん、モゴモゴ、あのですね……モゴモゴ、一ノ宮真紀の両親は……美味しい」「早見、とりあえず食べてからでいいぞ、何が言いたいのかわからん」そう言って、五十 […]
蒼き湖の涙:事件17
一ノ宮真紀の家宅捜査から三日後、五十鈴川が署に顔を出した。 「すずさん、青木さんからいい情報は得られました?」「ああ、事件解決への糸口になりそうな話が聞けたよ」「本当ですか!実はこっちの調査結果も聞いて欲しかったところ […]
蒼き湖の涙:事件16
一ノ宮真紀が失踪したことを受けて、五十鈴川たちは、重要人物をまた一人失った。行方を追うのと並行して、あの写真が合成かどうかを鑑識に委ねた。 令状を取り、一ノ宮真紀の自宅に向かう捜査車両の二人。「すずさん、現場に残ってい […]
蒼き湖の涙:事件15
サイレンを止めて到着した現場は、何と坂下昭夫が経営していたパソコンショップだった。 「すずさん、これはどういう事ですかね。マジでサスペンスですよ」「ブツブツ言っていないで仕事しろ。ここで殺された理由が何かあるはずだ。警 […]
蒼き湖の涙:事件14
「すずさん、大島一郎は事件に関係していますよね、多分」「ああ、多分な。ただ、今のところは一ノ宮重雄の想像でしかないけどな」「重雄さん、随分興奮してましたからね」 早見と五十鈴川は湖岸を南下して県警本部へ戻る途中、一ノ宮重 […]
蒼き湖の涙:事件13
川神家。玄関を入った先は土間になっており、そこから大きく一段上がった先にいくつかの和室が繋がっている。代々受け継がれたであろうその旧家には、現在住人はいない。 男性の名前は『一ノ宮重雄(いちのみや しげお)』そして妻の […]
蒼き湖の涙:事件12
阿弥大寺から車で5分ほどの所にその家はあった。 表札に大きく『川神』とある。早見が空き家を承知で呼びかける。「こんにちは。川神さん、いらっしゃいますか」さらに早見が続ける。「こんにちは。すみませ〜ん、川神さ〜ん、ご在宅 […]
蒼き湖の涙:事件11
湖北。琵琶湖を東西南北で見た時に文字通り北に位置する地域をこの様な呼び方をする。五十鈴川と早見は、ここにある古い山寺を訪ねていた。 「すずさん、この階段きついですね」「まあ、お寺だからな。修行する場所だと考えれば当た […]
蒼き湖の涙:事件10
絵地図に記されていた寺院について、早見は何かをつかみかけていた。 「すずさん、絵地図を調べてみてわかったのですが、記された寺は実在するものでした」「記されていたもの全部か」「いいえ、全てではありません。というか、現存し […]
蒼き湖の涙:事件9
USBから出た琵琶湖の古地図。地図といっても江戸時代、いや、それ以前に描かれたようにも思える、いわゆる絵地図だ。この古い絵地図に記された寺院が実在のものなのか、それを早見が調査を始めた。 一方、五十鈴川は、一ノ宮真紀の […]
蒼き湖の涙:事件8
鑑識課。 捜査1課なら幾度となく足を運ぶ、事件の要となる部署。 歩きながら話す、二人の会話は、静かな廊下に響いていた。 「すずさん、封筒に入っていたのは、USBメモリだったんですよね」 「ああ、現場で見る事が出来なかった […]
蒼き湖の涙:事件7
「わたしは、ちっとも悪くないわ。悪いのは、あの女よ」 女の名は 滝沢 翔子(たきざわ しょうこ) 駅前にあるスナック「フェアリーナイト」で働いているらしい。 「なぜ、一ノ宮さんを襲ったんだ」 「襲った? そんな大げさな。 […]
蒼き湖の涙:事件6
一ノ宮真紀が話した事は事実なのか? 全てが作り話だとは思えないが、五十鈴川には腑に落ちない点がひとつあった。早見が口走ってしまった様に二人が写る写真からして「坂下昭夫」を知っているはずなのだ。しかし、彼女の表情からして本 […]
蒼き湖の涙:事件5
涙を流す彼女が落ち着くのに、そう時間は掛からなかった。 そして、うつむきつつも少しずつ『河上啓一』について話し始めた。 「……2年ほど前になります。河上さんとは同じ職場で働いていたんです……私、何ていうか不器用で、仕事の […]
蒼き湖の涙:事件4
湖岸道路を北に向かうこと数十キロ、そこから市内へ入ると文字通り北署が見えてきた。 早見が車を停めようとした時、署から初老の男性が飛び出してきた。 「ダメ、ダメ、そこには停めんといて」 「えっ、ここダメなんですか」 きょと […]
蒼き湖の涙:事件3
写真の裏書きにあった「河上啓一」という名前を頼りに、五十鈴川たちは被害者の身元の特定を急いだ。 それと並行して「坂下昭夫」の身辺調査も引き続き行っていた。また、彼の直接の死因は致死量になる農薬を接種したからという鑑識の結 […]
蒼き湖の涙:事件2
鑑識の結果、放置されていた車は、ひき逃げをおこしたものと断定された。事故現場に落ちていた塗膜片が一致し、なによりも被害者の毛髪と血痕が残っていたのが決定打となった。 そしてもう一つ、車内にあった血痕は、水死体となった人物 […]
蒼き湖の涙:事件1
まだ、残暑の厳しい9月。事件は暗礁に乗り上げていた。 「すずさん。被害者の身元、まだ特定できないみたいですね」「ああ、仏さん、損傷が激しかったからな。それにひき逃げした車も見つかっていないしな」 2週間前、交通事故の […]